サークル活動を支える空間づくり──安全と安心のための空調整備プロジェクト 学生×学長 座談会
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2025年夏、記録的な猛暑が学生たちの活動にも大きな影響を与えました。東京外国語大学では、サークル棟への空調設備整備に向けたプロジェクトがいよいよ本格始動。春名学長をはじめとする大学執行部と、各サークルの代表者が集まり、課外活動の現場で何が起きているのか、そしてどんな環境が必要なのかを率直に語り合いました。
熱中症のリスク、集中力の低下、活動の継続そのものへの不安——学生たちの切実な声に、大学側も2026年夏までの整備完了を目指すと明言。財源確保のための寄附活動についても話し合いが進められ、学生と大学がともに未来のキャンパスをつくっていこうとする姿勢が、静かに、でも力強く動き出しています。
では、実際にサークルの現場ではどんな声が上がっていたのでしょうか?
今回は、ストリートダンス部、ラグビー部、ベリーダンス部、美術部、管弦楽団、アカペラサークルLINESの皆さんに、リアルな思いを語っていただきました。
大学執行部
- 春名 展生 学長
- 木下 孝洋 理事?事務局長
- 菊池 陽子 副学長(学生支援担当)
サークル代表者
- ストリートダンス部Quattro:(部長)鈴木愛莉さん(国際社会学部東南アジア地域3年)
- ラグビー部:(主将)佐野 颯貴さん(国際社会学部中東地域3年)、(副主将)吉田 晴さん(国際社会学部 南アジア地域2年)
- ベリーダンス部:(部長)橋本 果蘭さん(国際日本学部2年)、(広報担当)矢内 すみれさん(言語文化学部トルコ語2年)
- 美術部:(部長)磯海 未来さん(国際社会学部東南アジア第1地域2年)、(部員)藤井 凛さん(国際日本学部1年)
- 管弦楽団:(団長)袴田 梨愛さん(言語文化学部フランス語3年)
- アカペラサークルLines:(代表代理)小川 ありかさん(言語文化学部フランス語3年)
情熱はある。でも、空調がない。
────本日はお集まりいただき、ありがとうございます。今日は、サークル棟への空調設備整備プロジェクトに関連して、現場で活動されている皆さんの声を直接うかがいたく、このような場を設けました。大学としても、課外活動の環境整備は重要な課題と認識しており、学生の皆さんが安心して活動できる環境づくりに向けて、ぜひ率直なご意見をお聞かせいただければと思います。それでは、まず各サークルの活動状況と、特に夏場の活動における空調の必要性について教えてください。 ?
ストリートダンス?鈴木さん 私たちのサークルに所属する学生は183人と多く、昨年新たにジャンルが増えたこともあり、練習場所の確保がますます難しくなっています。週に2?3回、各2時間の練習を行っており、主に地下の舞踊場と3階の練習室を使用しています。3階の練習室には空調がなく、夏場は非常に高温になります。特に基礎練習の段階で体調を崩してしまう人も多く、気温が30℃を超える日は、練習を中止せざるを得ないこともあります。窓を開けても風が通らず、扇風機を使っても熱気が循環するだけで、かえって危険な状況になることもあります。夕方になっても気温が下がらない日が多く、練習後に体調を崩す部員もいます。「冷房があったらいいのに…」という声を本当によく聞きます。安心して練習に取り組める環境をつくるためにも、空調設備の整備は必要不可欠だと感じています。
────ラグビー部の活動状況はいかがですか。
ラグビー部?佐藤さん 普段の練習は、週に4回、グラウンドで3時間くらい行っています。夏になると週5回に増えるので、かなりハードです。練習後は、地下1階のトレーニングルームで自主的に筋トレをする部員が多いんですが、夏場はそのトレーニングルームもすごく暑くなってしまっています。暑さのせいで集中力が切れたり、疲れやすくなったりして、思うようにパフォーマンスが出せないこともあります。それに、器具の扱いが雑になってしまって、壊れそうでヒヤッとすることもあります。これは自分たちだけじゃなくて、アメフト部や陸上部、野球部、それから個人でトレーニングしている留学生の方たちも同じ状況だと思います。もしトレーニングルームに空調があれば、もっと集中して効率よくトレーニングできるし、ケガのリスクも減って、結果にもつながると思います。
ラグビー部?吉田さん トレーニングルームの設備について、私からも2点お願いがあります。 まず1点目は、ウェイトプレートの不足についてです。特に15キロや20キロのプレートは複数の器具で使われるため、使用中に足りなくなることがよくあります。最近は新しい器具も導入され、利用者も増えているので、ぜひ補充をご検討いただけるとありがたいです。 2点目は、Wi-Fi環境の整備についてです。筋トレ中にフォームを確認したり、トレーニング動画を参考にしたりしたい場面があるのですが、現在はWi-Fiが使えないため、少し不便に感じています。可能であれば、トレーニングルームにもWi-Fiを設置していただけると助かります。
────ベリーダンス部はいかがですか。
ベリーダンス部?橋本さん 私たちもストリートダンス部と同じく3階の練習室を使っているので、やはり同じような問題を感じています。特に夏は、熱中症のリスクが本当に高いと感じています。この暑さの中で練習していたら、誰が倒れてもおかしくない。安心して練習を続けるためにも、やはりエアコンは必要だと思います。安全面を考えても、早く整備されるといいねと、みんなで話しています。
ベリーダンス部?矢内さん 練習中に体調を崩す部員がたまにいます。年々暑さが厳しくなっているので、大きな事故につながるんじゃないかと心配しています。ぜひ練習室に空調を入れていただきたいです。安心して練習できる環境が整えば、部員みんながもっと前向きに活動できると思います。
────美術部の方はどうですか。
美術部?磯海さん 現在、私たちの部では、週に1回の部会に加えて、制作を希望する部員が自由に制作室を利用するかたちで活動しています。夏休みの期間も、外語祭に向けた大きな作品づくりに取り組みたいと考えているのですが、気温が35度を超えるような日は熱中症のリスクが高く、長時間集中して作業を続けるのが難しくなってしまいます。こうした環境は、作品の完成度や展示のクオリティにも影響を及ぼしますし、高温によって画材が劣化したり変色したりすることもあります。また、揮発性のある画材を使う際には換気が必要ですが、窓を開けると外気の熱が入り、安全面でも不安が残ります。空調設備が整えば、こうした問題が大きく改善され、より安心して制作に取り組める環境になると考えています。
美術部?藤井さん 私は今年度からこの部に入部したのですが、夏休み中も、週に1回は部活に参加しようという気持ちでいたのですが、連日の猛暑で体力的にかなり厳しく感じる日が多くありました。正直なところ、エアコンのある自宅で作業した方が快適だと感じてしまい、「今日は家でやってもいいかな」と思うこともあり、結果的に週1回の参加を継続することができませんでした。実際、空調の有無で集中力やモチベーションには大きな差が出ると実感しています。
────管弦楽団はいかがですか。?
管弦楽団?袴田さん 私たち管弦楽団は週に2回活動していて、楽器ごとに部屋を分けて練習しています。金管楽器は主に地下の音楽室を使っていて、そこにはエアコンがあるので比較的快適に練習できています。でも、弦楽器や木管楽器のメンバーは4階や5階で練習することが多く、夏場は「暑すぎて練習にならない」と相談されることもあります。そういうときは、金管?木管?弦楽器の3グループで地下の音楽室を時間で区切って交代で使うこともあるんですが、移動に時間がかかってしまって、どうしても練習の効率が落ちてしまいます。特に大きな楽器を持っている部員にとっては、階をまたいでの移動はかなり大変です。もし4階や5階にも地下の音楽室のようにエアコンがあれば、もっと快適に、効率よく練習できるのにと感じています。大学会館の集会室を使うこともありますが、やはり楽器の運搬が大変なので、サークル棟の上階に空調が整備されると本当に助かります。
────アカペラサークルはいかがですか。
アカペラサークル?小川さん 私たちのサークルは、全員が一斉に集まって練習するのではなく、4?7人ほどの小規模なバンド単位で活動しています。多くのメンバーが複数のバンドに所属しているので、大学会館の集会室だけでは足りず、サークル棟も併用して練習しています。夏場は特に、サークル棟を使うグループが多くなるのですが、昨年も熱中症のような症状で気分が悪くなってしまった人がいました。窓を開けても熱い空気しか入ってこないので、練習が厳しく感じることもあります。私たちは運動系のサークルほど激しく体を動かすわけではありませんが、歌っていると息が上がったり、体が熱くなったりするので、やはり冷房があるととても助かります。安心して練習に集中できる環境が整えば、もっと良いパフォーマンスにもつながると思います。
動き出した大学──安心の環境を目指して
────大学としての対応方針について教えてください。
春名学長 皆さんから、日々の活動を通じて感じている課題やご意見を伺い、それぞれのサークルで健康への影響やその要因は異なるものの、共通する深刻な問題があることを改めて認識いたしました。特に今年は、東京都内で35度を超える日が7月?8月だけで30日あまりを数え、府中では40度に達した日もありました。そのような厳しい環境の中でも、皆さんが工夫を凝らし、事故のないよう細心の注意を払って活動してくださっていることに感心しています。しかしながら、この状況を放置することはできません。サークル棟への空調設備の整備はすでに大学として決定しており、現在はその財源確保に向けて検討を進めております。来年の夏の猛暑を迎える前、6月頃までには整備を完了させることを目指しています。ただ、今回の工事には多額の費用が見込まれていまして、昨今の物価や人件費の上昇も影響しています。大学としても最大限努力していきますが、限られた予算の中で他の教育?研究活動への影響を最小限にとどめるためにも、学外からのご支援を広くお願いしているところです。
木下理事 サークル棟の空調整備については、これまでも長らく課題として認識しておりましたが、財源の確保が難しく、実現には至っておりませんでした。しかし、近年の猛暑が常態化し、学生の皆さんの健康と安全が脅かされる状況を受け、大学としても強い危機感を持ち、このたび空調設備の設置を決断いたしました。多額の経費を要する大規模な整備となりますが、夏前の完成を目指して準備を進めております。6月上旬の完成を目標としておりますが、物価や人件費の高騰により、施工業者の確保など、なお課題もございます。学生の皆さんが安心して課外活動に取り組める環境を整えるため、大学としても全力で取り組んでおります。
菊池副学長 ぜひ、卒業生の皆様にも本プロジェクトへのご支援をお願いできればと考えております。大学としても、同窓会の皆様をはじめとする関係者の方々にご寄附をお願いするなど、可能な限りの努力を重ねてまいります。学生たちの安全で充実した課外活動のために、皆様のお力添えをいただけましたら本当にありがたく思います。?
────空調設備の工事期間中はサークル棟が使えなくなりますか。?
木下理事 工事については、6月の完成を目指しており、地下階から順次進めてまいります。3階部分については、6月上旬頃の完了を見込んでいます。工事期間中の各施設の使用可否については、現時点では詳細が確定していませんが、決まり次第、速やかにご案内します。各フロアの工事はおおむね1週間程度で完了する見込みで、長期間にわたる使用制限は生じないよう配慮して進めていきます。
────空調整備プロジェクト寄付活動について、もう少し詳しく教えていただけますか。
春名学長 空調設備の整備については、大学としてもできる限り予算を確保し、実現に向けて取り組んでおります。ただ、サークル棟の空調に限らず、他の設備の改善や維持管理にも継続的な資金が必要であり、財政的には非常に厳しい状況にあります。また、空調設備の設置後は、電気代の増加も見込まれており、施設企画課の試算では、現在のキャンパス全体の契約電力量を超える可能性もあることが分かっています。その場合、新たな契約への切り替えが必要となり、運用コストもさらに増加する見通しです。こうした中で、皆様からのご寄附は、空調整備の実現を後押しするだけでなく、大学全体の持続可能な運営を支える大きな力となります。学生たちが安心して活動に打ち込める環境を整えるために、ぜひご支援を賜れましたら幸いです。皆様の温かいご協力を、心よりお願い申し上げます。
サークル棟空調設備プロジェクトに関する360足球直播_ope体育官网-滚球*平台先
東京外国語大学 総務企画課 基金担当
TEL:042-330-5126
FAX:042-330-5599
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